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銀河鉄道の夜

ジヨバンニはわれを忘れてその星座の圖に見入りました。それはひる學校で見たあの圖よりはずうつと小さかつたのですが、その日の時間に合せて盤をまはすと、そのとき出てゐるそらがそのまま楕圓形のなかにめぐつてあらはれるやうになつて居り、やはりそのまん中には上から下へかけて銀河がぼうとけむつたやうな帶になつて、その下の方ではかすかに爆發して湯氣でもあげてゐるやうに見えるのでした。またそのうしろには三本の脚のつ... 続きを読む about 銀河鉄道の夜

By 宮沢賢治 118 2025-07-01 21:58:03

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恩讐の彼方に

それは、了海が樋田の刳貫に第一の槌を下してから二十一年目、実之助が了海にめぐりあってから一年六カ月を経た、延享(えんきょう)三年九月十日の夜であった。この夜も、石工どもはことごとく小屋に退いて、了海と実之助のみ、終日の疲労にめげず懸命に槌を振っていた。その夜九つに近き頃、了海が力を籠めて振り下した槌が、朽木を打つがごとくなんの手答えもなく力余って、槌を持った右の掌が岩に当ったので、彼は「あっ」と、... 続きを読む about 恩讐の彼方に

By 菊池 寛 69 2025-07-01 11:03:45

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坊っちやん

親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりして居る。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間程腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出して居たら、同級生の一人が冗談に、いくら威張つても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。小使に負ぶさつて帰つて来た時、おやぢが大きな眼をして二階位から飛び降りて腰を抜か... 続きを読む about 坊っちやん

By 夏目漱石 70 2025-07-01 11:00:23

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ごん狐

これは、わたしが小さいときに、村の茂兵(もへい)というおじいさんからきいたお話です。 むかしは、わたしたちの村のちかくの、中山というところに小さなお城(しろ)があって、中山さまというおとのさまがおられたそうです。 その中山から、すこしはなれた山の中に、「ごんぎつね」というきつねがいました。ごんは、ひとりぼっちの小ぎつねで、しだのいっぱいしげった森の中に穴(あな)をほって住んでいました。そして、夜で... 続きを読む about ごん狐

By 新見南吉 48 2025-06-30 17:20:30

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走れメロス

メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐じゃちぼうぎゃくの王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此このシラクスの市にやって来た。メロスには父も、母も無い。女房も無い。十六の、内気な妹と二人暮しだ。この妹は、村の或る律気な... 続きを読む about 走れメロス

By 太宰治 61 2025-05-03 19:51:25


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